午後の三時のコーヒーを美味しく飲む方法は?

午後の三時のコーヒーを美味しく飲む方法は? という質問に対して、こう答えたい。「午後三時にコーヒーを飲むこと」
これは私の意見である。
つまり「コーヒーを美味しく飲む方法などない」というのが私の結論だ。
だからといって私が「無粋な人間」であることを意味するわけではない。私はむしろ「味のわかる男」だと自負している。
とはいえコーヒーについて語れるほどの知識も興味もない。「味のわかる男」とは、あくまで自称である。
そんなわけで、ここではコーヒーに関する知識や経験がないにもかかわらず、「コーヒーを美味しく飲む方法」と公言する私が、どういう思考回路からそう言い出すのかを分析してみようと思う。
1.逆に飲めない理由を考える よく言われるのは「苦いから」「カフェインが胃に悪いから」といったところか。しかしそれではあまりにも味気ない。そこで、もっと掘り下げて考えてみることにする。
そもそも私はなぜコーヒーが好きなのか。それは「飲むことで落ち着くから」である。これを言い換えれば「ストレス解消になるから」ということになるだろう。ストレスを抱えている人にとって、コーヒーはその効果が高い。そういう意味で、私のような立場からすれば「コーヒーを飲むことはストレス解消になる」というのは自明のことである。
ではコーヒーを飲むと、どんなストレスが解消されるのか。これには様々な説があって一概には言えないが、代表的なところで言えば「リラックスできる」「頭がスッキリする」「集中力が高まる」あたりが挙げられるだろう。
確かにこれらの効果は魅力的だ。
でも私の場合、どうもそれだけでは納得できないのだ。
まず第一に「リラックスできる」という効果が実感しにくい。というのも私はどちらかと言えば常に緊張した状態で仕事をしているからだ。仕事中はもちろんのこと、通勤電車に乗っているときもそうだし、パチンコでハマっているときもそうである(笑)。リラックスするのは寝ている間ぐらいではないだろうか。つまり起きている間はずっと神経を張り詰めているということだ。これでどうやってリラックスしたらいいのだろう? 第二に「頭がスッキリする」という効果にも疑問がある。もちろん頭がすっきりするという感覚はあるのだが、それが必ずしも「スッキリする」と同義とは限らない。特に私は朝起きてから夜眠るまで頭を使いっぱなしなので、かえって脳味噌に疲労感が残ることが多いような気がする。これもやはり「リフレッシュする」という言葉とはニュアンスが異なるように思う。
第三に「集中力が高まる」効果だが、これは私にとってはあまり実感がない。むしろ仕事に集中したいときにはコーヒーを飲むと逆効果のように思えることがある。理由は簡単で、コーヒーを飲むことによって余計なことを思い出す頻度が高くなるからである。これでは本末転倒ではないか。
以上の理由からして「ストレス解消効果がある=リラックスできる=頭をスッキリさせる=集中力が高められる」という説はかなり怪しいと思っている。
そこで今度は別の角度からアプローチを試みることにした。すなわち、本当にストレスが軽減されているのかという点に関してである。
実は私自身、最近になってようやく気づいたことがあった。それはストレスの原因が職場環境にあるのではなく、自分自身の中にあるのではないかということである。言い換えるなら自分に対する不満が溜まっていることが原因ではないかと疑ったのだ。
思い返せば、ここ数年間、私は自分の不甲斐なさに悩まされ続けてきた。
この年齢になってもいまだに一人前扱いされないことに絶望していた時期もある。毎日が自己嫌悪の連続だった。
そしてあるとき思ったのである。このまま一生こんな暮らしを続けていくしかないのか――と。
そのときになって初めて私は真剣に自分の人生について考えるようになった。これまで見ようとしなかったものに目を向け始めた。
しかし残念ながら結論はすぐに出た。答えは「否」であった。他に生き方などないと確信した。なぜなら自分にはこれ以外の選択肢が存在しないからである。私は今まで通りの人生を歩むしか能のない人間なのだ。結局はそうやって自分を卑下しながら生きていくより他はない。それがわかってからは少しだけ楽になった気がした。
ただし何もかも諦めて受け入れるほど、私は悟りを開いたわけではない。私だって男としてプライドを持っているし、まだまだ人生を楽しみたいという気持ちも残っている。ただそれらを実現する方法がわからないだけだ。
ではどうすればその方法を見出せるのか。それを考えたときに私が思いついた方法は、以下の三つである。
1:今の会社を辞めて他の道を探す
2:結婚して家庭を築く
3:病気や怪我などで働けなくなった場合に備えて貯金しておく いずれも「今の仕事をやめる」「誰かと結婚して家庭を持つ」「老後の生活資金を確保する」といった内容である。
どれを選ぶかによって今後の方針が決まることになるだろう。
あれ?何の話をしていたのか?そうだ「午後の三時のコーヒーを美味しく飲む方法」だった。
私はそれを思いだしコーヒーを一口飲んだ。
自分の中で好き勝手に考えながら評論家ぶって想像の中で偉そうにする、それこそ気持ちよくなる秘訣、まさに午後の三時のコーヒーを美味しく飲む方法である。